憧れの住む東京へ

憧れの住む東京へ

本の雑誌社/2023年1月26日発行/四六判/並製本/カバー装

カバーはCMYBk、表紙、飾り扉、帯は1色。

岡崎武志さんの上京ものの単行本の最新作。赤瀬川原平、洲之内徹、浅川マキ、田中小実昌、山之口獏、耕治人らの、戦前から戦後にかけての上京物語ということで、カバーは昭和時代の国鉄ではお馴染みの、硬券の切符をモチーフとしました。「六人の表現者」に合わせて、切符はハサミ痕を見るとわかりますが六種類あります。ちなみに父親が国鉄マンだったので硬券の切符のイラストを描けたのが嬉しかったです。父の定年退職時に二センチ?ぐらいの線路の輪切りをもらってきていた記憶があります。

谷崎潤一郎と書物

谷崎潤一郎と書物

山中剛史

秀明大学出版会/2020年10月1日発行/A5判/上製本/カバー装/丸背

カバーは特色2色にタイトル部分をつや黒の箔捺し、表面加工はニス。帯は平和紙業「ぬのじ」に特色2色。

谷崎潤一郎とその書物の研究書です。カバーには本書で取り上げられている谷崎潤一郎の「書物」の装幀から採集した意匠を配しています。また、タイトルの「谷崎潤一郎」は小村雪岱が装幀を手がけた谷崎の『女人神聖』(春陽堂、大正9年)の函背に雪岱文字で描かれたタイトルから採集しました。表紙には彼の研究の土台となる蔵書群である本棚を配しました。表紙には、帯で「古書趣味と文学研究の越境・融合(ハイブリッド)」と謳う著者の本棚の写真を使用。著者の言葉だけでなく、その知の源泉も装幀に綴じ込みました。

最後に……、著者は長い付き合いの友人で、『谷崎潤一郎と書物』は初の単著です。その装幀を手がけることができたのはとても嬉しく光栄なことであり、またその本にライフワークである小村雪岱研究の一つ成果である〈雪岱文字〉を配し、彼にその装幀の本を渡せたことも重ねて嬉しいことでした。

小説は書き直される

小説は書き直される

創作のバックヤード

日本近代文学館 編

秀明大学出版会/2018年12月20日発行/A5判/上製本/カバー装/丸背

日本近代文学館で2017年12月から2018年2月にかけて開催された「小説は書き直される──創作のバックヤード」の展示内容を単行本にまとめたものです。

歌の子詩の子、折口信夫

歌の子詩の子、折口信夫

持田叙子

幻戯書房/2016年10月9日発行/四六判/上製本/カバー装/丸背

カバーは特色二色のみのシンプルな造りですがとても気に入っている装幀です。モチーフは短めの羽根。決して大きくない体軀の鳥を想像させて、実体は見せずに存在を、空気感のみを漂わせる。飛び立って落ちた羽根なのか、それとも……。美しいままに抜け落ちた羽根の数々はどのように浮遊し、汚れを纏い、転げていくのか。

JUST IN SF

JUST IN SF

牧 眞司

本の雑誌社/2016年5月20日発行/A5判/並製本/カバー装

装画のイラストレーションも描いています。カバーは2色で表面加工はマットPP。帯は2色。

古本屋ツアー・イン・首都圏沿線

古本屋ツアー・イン・首都圏沿線

小山力也

本の雑誌社/2015年10月23日発行/四六判/並製本/カバー装

装幀、本文組版、イラストレーションも担当

古本仲間の小山さんの本です。たしかこの本で仕事するまで面識はなかったと記憶していますが、まぁそこは趣味の方向性は異なるものの古本で繫がった仲というか、楽しい仕事でした。ちなみに担当編集者は「おじさん三人組」のひとり、M里君です。カバー表のタイトル文字は手描きです。イラストレーションに合わせて、楽しく描きました。とはいえ、かなり情報量が多い本だったのでとにかく組版が大変でした。特に目次と古本屋一覧、そして索引が。こういうデータをうまく収めるのは好きな方なんですが、やってもやっても終わらない、鬼ような店数の多さです。そしてこれらの店に全て行っている小山さん……。