仙波龍英歌集
六花書林/2007年8月6日発行/A5判/並製本/カバー装
カバーは特色1色に箔捺しを2種使用しています。タイトル部分はつや金、羽の筋の部分につや黒を配し、深みを演出しました。
本書は関係者の強い思いの中で企画され、また著者の意見を聞くことが叶わない中での制作だったので、悩みに悩んで、つくりあげました。カバー表は公園や街を歩きまわって探し落ちているのをひろったカラスの羽です。その羽をじっくり観察しながら、まずは鉛筆で描き上げ、それをスキャンし、修正の手をいれました。スジの部分は黒のつや箔を捺してコントラストをつけています。この羽、どこかに今でもしまってあるはずですが……。タイトルの金箔と羽のつや黒箔と、二つの箔にスミ一色という地味に豪華なつくりでお願いしましたが、六花書林の宇田川氏は快く了承してくれました。紙材もぎりぎりまでどのようなものが合うのか悩み、寸前に差し替えた記憶があります。見本を受け取った時にその出来上がりに、これはまわりの期待に応えられたのではないかという安堵感を抱いたのをいまでも覚えています。とても気に入っている装幀の一冊です。