20’S 北園克衛1920年代実験小説集成

20’S

北園克衛1920年代実験小説集成

幻戯書房/2023年2月27日発行/四六判/上製本/カバー装/角背

2016年に刊行された『白昼のスカイスクレエパア 北園克衛モダン小説集の続編。前著でも編集を手がけた加藤仁氏の続く研究の成果が新たなに形となりました。今回の本では加藤氏に提供してもらった北園のIllustrationを、貴重な初出雑誌から採集、装幀だけでなく本文にも多数配しています。カバーの表紙絵は前回は真田のグラフィックを使用しましたが、今回は満を持して北園の絵を使用しています。

白昼のスカイスクレエパア

白昼のスカイスクレエパア

北園克衛モダン小説集

幻戯書房/2016年1月15日発行/四六判/上製本/カバー装/角背

北園克衛を追いかけ続ける加藤仁氏が、地道な日々の探索の中で蒐集してきた新発見の北園作品を収録した小説集。その探索する姿を見続けてきていたので、装幀を手がけるにあたっては気持ちが入りました(また、真田のライフワークである小村雪岱のかなり貴重な資料を過去に何度も発見、提供して頂いています)。タイトルの文字はグレーの特色の上に透明の箔押しを、またこの箔押しはモチーフのビルヂングをイメージしたグラフィックにも点在させており、実際に差触ってみるとそこの箔押しを施した意義に納得してもらえると思います。帯の紙は少し薄めのものを採用し、カバーのグラフィックが帯越しにうっすらと見えるように透け感を出しました。控えめな装幀ですが、個人的にはとても気に入っています。

小村雪岱挿絵集

小村雪岱挿絵集

真田幸治 編

幻戯書房/2018年10月17日発行/四六判/上製本/カバー装/角背

『小村雪岱随筆集』に続き、ライフワークである小村雪岱研究の成果を本の形にすることができました。編集・解説文の書き下ろしの他、装幀、本文組版も手がけています。つや黒で箔で捺したタイトルの文字には随筆集と同様に、小村雪岱が装幀本などで使っていた雪岱独自の手描き文字である〈雪岱文字〉を装幀本から採集し使用しました。

本挿絵集では過去の雪岱の展覧会や書籍などでほとんど取り上げられていない新たに発掘してきた挿絵を収録しました。過去に取り上げられてきた挿絵の多くはその全貌を把握しやすい新聞連載小説の挿絵やその原画でしたが、本書では雪岱が活躍した雑誌挿絵に注目し、それら雑誌を実見、及び手元に収集し、雪岱の雑誌挿絵の全貌に迫りました。その期間は大正5年(1916)から歿年の昭和15年(1940)までに及び、邦枝完二、長谷川伸、吉川英治、子母澤寛ら大衆小説作家と組んだ江戸情趣あふれる「髷物」のほか、資生堂意匠部在籍時の仕事や現代物、児童物も網羅し、雪岱独自の画風である〈雪岱調〉の成立の過程をも把握することができます。「両国梶之助」(鈴木彦次郎)の原画なども収録。

小村雪岱随筆集

小村雪岱随筆集

真田幸治 編

幻戯書房/2018年2月15日発行/四六判/上製本/カバー装/角背

編集・解説文の書き下ろしの他、装幀、本文組版を担当。現在(2020年9月)三刷。つや黒で箔で捺したタイトルの文字には小村雪岱が装幀本などで使っていた雪岱独自の手描き文字である〈雪岱文字〉を装幀本から採集し使用しました。

大正から昭和初期にかけて、装幀家、挿絵画家、舞台装置家として活躍した小村雪岱の文章をまとめた本です。雪岱の随筆は『日本橋檜物町』と題して、雪岱歿後の昭和17年に高見澤木版社より30篇がまとめられ刊行されています。その後、中公文庫、平凡社ライブラリーより復刊されましたが、本書ではこの30篇に新たに発掘した44篇も加え、また挿絵や図版が附随する場合はこれも収録しました。

本書に収録されている文章は編者でもある私が雪岱文章収載の初出雑誌にあたって、新規発見分及び過去収録分を再構成し、収録したものです。文章の蒐集には雪岱が関わりを持っていると思われる雑誌を雪岱歿年の昭和15年までの刊行分を目処とし実見しています。初出不明とされていたものも初出を明らかにし、タイトルも初出雑誌を参考により正確なものとしました。また、本書の装幀には雪岱の挿絵の他、タイトルには雪岱が装幀や挿絵の仕事で使用していた雪岱独自の文字である〈雪岱文字〉を雪岱の装幀本から採集し、使用しています。絵だけでなく文字にもこだわった雪岱の美意識を、装幀からも感じとってもらえたらと思います。

装幀や挿絵の仕事だけなく、文章という形から、雪岱の新たな一面を読み取ってもらえることができたら幸いです。

谷崎潤一郎と書物

谷崎潤一郎と書物

山中剛史

秀明大学出版会/2020年10月1日発行/A5判/上製本/カバー装/丸背

カバーは特色2色にタイトル部分をつや黒の箔捺し、表面加工はニス。帯は平和紙業「ぬのじ」に特色2色。

谷崎潤一郎とその書物の研究書です。カバーには本書で取り上げられている谷崎潤一郎の「書物」の装幀から採集した意匠を配しています。また、タイトルの「谷崎潤一郎」は小村雪岱が装幀を手がけた谷崎の『女人神聖』(春陽堂、大正9年)の函背に雪岱文字で描かれたタイトルから採集しました。表紙には彼の研究の土台となる蔵書群である本棚を配しました。表紙には、帯で「古書趣味と文学研究の越境・融合(ハイブリッド)」と謳う著者の本棚の写真を使用。著者の言葉だけでなく、その知の源泉も装幀に綴じ込みました。

最後に……、著者は長い付き合いの友人で、『谷崎潤一郎と書物』は初の単著です。その装幀を手がけることができたのはとても嬉しく光栄なことであり、またその本にライフワークである小村雪岱研究の一つ成果である〈雪岱文字〉を配し、彼にその装幀の本を渡せたことも重ねて嬉しいことでした。

140字の文豪たち

140字の文豪たち

川島幸希

秀明大学出版会/2020年7月30日発行/四六判/並製本/カバー装

初版本の世界の巨人である川島幸希氏が、アカウント名「初版道」としてTwitterでつぶやいてきた文学話をまとめた本です。大きな反響を呼び、即二刷になりました。

虹のような黒

虹のような黒

連城三紀彦

幻戯書房/2019年9月9日発行/四六判/上製本/カバー装/角背

装画は著者。本文小口・天・地の三方を黒で染めたバージョンもあり。カバーは黒地の紙に銀の特色。タイトル部分はレインボーの箔捺し。

月夜に傘をさした話

月夜に傘をさした話

正岡容単行本未収録作品集

幻戯書房/2018年12月20日発行/四六判/上製本/カバー装/角背

容の本を形にするにあたってはすでにある形があり、一つ取り上げれば寄席文学のわかるやすい象徴としての江戸趣味的な雰囲気があるわけですが、この本では編集者と話し合い、過去の容の本のイメージを踏襲せず、大胆に容のキャラクターも含めて本という形に具現化することにしました。メインタイトルで異なる文字の部首やひらがなの一部を一体にさせたデザインは新しい挑戦ができたと考えています。背の浅草十二階やカバー裏の着物の女性の足元など、使用している図版は、雪岱研究のために図書館なみに集めている戦前の雑誌から採集し使用しました。表紙は吉原つなぎの模様を配して、従来の容のイメージに合わせてシックに着地させています。

小説は書き直される

小説は書き直される

創作のバックヤード

日本近代文学館 編

秀明大学出版会/2018年12月20日発行/A5判/上製本/カバー装/丸背

日本近代文学館で2017年12月から2018年2月にかけて開催された「小説は書き直される──創作のバックヤード」の展示内容を単行本にまとめたものです。