小村雪岱随筆集
真田幸治 編
幻戯書房/2018年2月15日発行/四六判/上製本/カバー装/角背
編集・解説文の書き下ろしの他、装幀、本文組版を担当。現在(2020年9月)三刷。つや黒で箔で捺したタイトルの文字には小村雪岱が装幀本などで使っていた雪岱独自の手描き文字である〈雪岱文字〉を装幀本から採集し使用しました。
大正から昭和初期にかけて、装幀家、挿絵画家、舞台装置家として活躍した小村雪岱の文章をまとめた本です。雪岱の随筆は『日本橋檜物町』と題して、雪岱歿後の昭和17年に高見澤木版社より30篇がまとめられ刊行されています。その後、中公文庫、平凡社ライブラリーより復刊されましたが、本書ではこの30篇に新たに発掘した44篇も加え、また挿絵や図版が附随する場合はこれも収録しました。
本書に収録されている文章は編者でもある私が雪岱文章収載の初出雑誌にあたって、新規発見分及び過去収録分を再構成し、収録したものです。文章の蒐集には雪岱が関わりを持っていると思われる雑誌を雪岱歿年の昭和15年までの刊行分を目処とし実見しています。初出不明とされていたものも初出を明らかにし、タイトルも初出雑誌を参考により正確なものとしました。また、本書の装幀には雪岱の挿絵の他、タイトルには雪岱が装幀や挿絵の仕事で使用していた雪岱独自の文字である〈雪岱文字〉を雪岱の装幀本から採集し、使用しています。絵だけでなく文字にもこだわった雪岱の美意識を、装幀からも感じとってもらえたらと思います。
装幀や挿絵の仕事だけなく、文章という形から、雪岱の新たな一面を読み取ってもらえることができたら幸いです。