小村雪岱挿絵集
真田幸治 編
幻戯書房/2018年10月17日発行/四六判/上製本/カバー装/角背
『小村雪岱随筆集』に続き、ライフワークである小村雪岱研究の成果を本の形にすることができました。編集・解説文の書き下ろしの他、装幀、本文組版も手がけています。つや黒で箔で捺したタイトルの文字には随筆集と同様に、小村雪岱が装幀本などで使っていた雪岱独自の手描き文字である〈雪岱文字〉を装幀本から採集し使用しました。
本挿絵集では過去の雪岱の展覧会や書籍などでほとんど取り上げられていない新たに発掘してきた挿絵を収録しました。過去に取り上げられてきた挿絵の多くはその全貌を把握しやすい新聞連載小説の挿絵やその原画でしたが、本書では雪岱が活躍した雑誌挿絵に注目し、それら雑誌を実見、及び手元に収集し、雪岱の雑誌挿絵の全貌に迫りました。その期間は大正5年(1916)から歿年の昭和15年(1940)までに及び、邦枝完二、長谷川伸、吉川英治、子母澤寛ら大衆小説作家と組んだ江戸情趣あふれる「髷物」のほか、資生堂意匠部在籍時の仕事や現代物、児童物も網羅し、雪岱独自の画風である〈雪岱調〉の成立の過程をも把握することができます。「両国梶之助」(鈴木彦次郎)の原画なども収録。